2つのスピリチュアリズム
スピリチュアリストでオペラ歌手の江原啓之さんは書籍や関連サイトでスピリチュアリズムを「ハイ(High)」と「ロー(Low)」の2種類に分けて説明しています。
●ハイ・スピリチュアリズム・・・
「精神性の高さ」。人生のなかで経験と感動を積み重ね、より良い生き方ができるように学び続ける姿勢。
●ロー・スピリチュアリズム・・・
さまざまな欲望を満たすための神秘主義を指します。真摯に努力することなく、安易に神仏にすがったり、超自然的な力に自分勝手な期待を寄せたりしてしまうこと。
スピリチュアルな場所が好きで、そこに行って癒されたいと思う人がほとんどでしょうが、その根底には「ハイ」か「ロー」かを起点とした基本的な人生を生きる姿勢があるのだと思います。
毎年、明るい希望を持って生きたいと思っていますが、年を重ねる毎に思い通りにならない世の中の厳しさを感じます。同じ様に、これからの日本の先行きが不安と感じる人は少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
社会一般的に見ても経済面が特に厳しくなり、既にあらゆる面で格差が更に広がっている様に思えます。今の生活は大丈夫であったとしても、来年、再来年、5年後はどうなるか全く分からないのが正直なところかもしれません。
もうこの世を卒業する世代は何とかまだ時間稼ぎができるのかもしれませんが、特に多くの負の遺産を引き継ぐ若い世代にとってのこれからの未来はどんな茨の道が待っているのか予想すらできません。
この時代だけに言えることではないのですが、そんな不透明な未来に向かって人の生き方がはっきりと分かれていきます。
例えば、以下の3つの生き方
●たましいの成長をめざして生きる人
●物質的価値観(お金、名誉、地位等)に振り回されて生きる人
●どうすれば良いかわからずに右往左往する人
これから私たちに求められるのは、「現世を生き抜くための精神的な強さを備えているかどうか」にかかっている様に思えるのです。
「スピリチュアル」の真の意味とは?
パワースポットを巡る旅やツアーを「スピリチュアル旅行」と呼んでいます。
スピリチュアルというと、日常生活から逃げて精神世界に入り込んでいる弱く何かに依存した人たちというイメージを受けることがありますが、確かにその様な人がいるのも事実でしょう。それは、ロー・スピリチュアリズムに属する人達のことを言っています。
江原啓之さんの体系化する「スピリチュアリズム」には、8つの法則があります。その中のひとつにある「霊魂(スピリット)の法則」を挙げてみるだけでもスピリチュアリズムがいかに実践哲学であるかを実感することでしょう。
「霊魂(スピリット)の法則」
私たち人間は「たましいの存在」。死んでも魂は生き続ける。
たましいは何度も再生し、たましいの向上をめざしている。
今、私たちが生きているのは、たましいを磨くためであること。
自分のことを「私はスピリチュアル好きです」と表現する人がたまにいますが、余りの軽さに言葉を失ってしまうことがあります。
スピリチュアリズムは、強く人生を生き抜くための「生きる哲学」。
好き・嫌いの問題ではないと思います。
神社参拝より大切なこと
神社参拝よりも実は大切なことがあります。それは、たましいの成長を誓い、実践することです。そして、ハイ・スピリチュアルな人になることこそが大切なのです。
生業に一生懸命取り組むことなく、普段の努力もなく、魂の成長を誓うこともせずに神社参拝しても意味がありません。
ひふみともこ先生の講座にもよく勉強しに行くのですが、ひふみ先生は神さまからのメッセージをお伝えされています。そのメッセージには、神様が私たちに何を求めているのか、どう生きていくことが大切かを教えてくださっています。
神様からのメッセージの中に、今自分が受け入れたくない現実世界の問題を否定してくれる超常的で非現実的な内容を期待するのではなく、困難な今の人生を精一杯の努力で乗り越え、人生をより充実させるためのヒントを学び取ることが重要なのです。
江原啓之さんの「スピリチュアリズム」とひふみ先生の神さまからのメッセージの奥にあるものは同じであると思っています。
これから経済的に苦しい時代を迎える状況を考えると、今の「パワースポット」ブームは、さらに拡大する可能性があります。
現在のパワースポットブームの多くは、残念ながらロー・スピリチュアリズムからくるものが多いと思われます。
私たちは依存心だけでは聖地を巡らないようにしたいものです。自分の努力で自分を幸せにする精神的な強さを持つことが大切です。棚ボタで幸せになることはありません。
これから私たちに求められるもの。それは試練に負けない精神の強さを養うことです。
どんなに熱心に参拝を重ねても、どんなに特別な正式参拝を受けたとしてもブームに影響された人は聖地での崇高なエネルギーを感じることはできないのではないでしょうか。
ハイ・スピリチュアリズムを目指して
あなたが「ハイ・スピリチュアリズム」を目指すのであれば、自分と同じ波長を持つ人達と一緒に聖地やパワースポットを訪れることをお勧めします。
価値観を同じくする人達との出会いは魂の喜びであり、遠い記憶を甦らせてくれる様な懐かしい感覚を与えてくれます。
あなたがどんなに高い霊性を備えていたとしても、独りではこの世の中に対してあなたの存在性を十分発揮することにも限界があります。
人と人との関係性の中にこそ、霊性を高めることのできる学びが潜んでいます。他人との距離感を適正に保ちながら孤高に生き、それでいて同じ価値観を持つ人達と信頼関係を維持しながら同じ方向に向けて共に歩んでいくことで、人生はより充実したものとなるのではないでしょうか。