『霊界通信・小桜姫物語』を読んで学ぶこと
著者、浅野和三郎先生は東京帝国大学にてラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の指導を受けた英米文学者です。心霊研究の持つ計り知れない意義に氣付くと、これまでの名声と海軍教官の要職もなげうって、心霊科学研究の道に入りました。
浅野和三郎先生の奥様である多慶子婦人が霊媒であり、多慶子婦人の守護霊が小桜姫でした。『小桜姫物語』は、多慶子婦人の口を借りて小桜姫が霊界のしくみについて語ったものです。日本のスピリチュアリズムを語る上で欠かせない貴重な文献の一つとなっています。
この小桜姫が亡くなり、現在の小桜神社のご祭神として祀られるまでの、あの世での修行の様子がこの本で語られているのです。この本は、昔の日本の言葉で書かれているので一見読みにくいのですが、読み進めていくとどんどん引き付けれていきます。
また、この本を初めて読むと、びっくりする人が多いかもしれません。出雲大社のオオクニヌシノミコトと言えば、縁結び、農業や薬、お酒の神様として知られていますが、この本には、オオクニヌシノミコトのあの世での役割について書かれています。その役割とは、意外や意外です。
小桜姫があの世の修行の中で、様々な神々のご眷属と会われます。天狗霊、龍神様、妖精・・・。そして神話に登場される玉依姫まで!走水神社のご祭神、オトタチバナヒメと小桜姫の会話もあるので驚きです。
更に、この本から様々な学びがあります。自殺をした人は、死んでからどのような道を辿るのか。自分の家族が死ぬ間際、あの世からはどのように見えるのか。神様側から見た、私たちの参拝についても!
これからどう生きていけば良いか、今の自分のこんなところを直したほうがいい・・・。そんな発見があります。
一番印象に残っているのは、強情な性格は不幸になるということ。頑として自分の意見を曲げない人は要注意ですね!
小桜姫物語以外に霊界通信というものはありますが、あの世に行ってからの修行をこれほどリアルに書かれているものはなかなかないのでは・・・と、思っています。この本を読んで、「ふーん、こんなこともあるのか」だけで終わるのではなく、「じゃあ、今を一生懸命生きなくては」と思うことが大切だと思います。
生きている間の執着は、死後もそのまま移行する
小桜姫は生前に夫の死、落城などで北條家をとても憎み、その執着がなかなかとれず、小桜姫の守護霊も手におえなかったと書かれています。つまり人は死んでも、肉体を捨てるだけで魂自体は生き続けることがわかります。
修行の中で、さまざまな執着や憎しみが和らいだのは、神さまのお悟しと、小桜姫のために思念を送った親しい人たちの祈願の賜物であると書かれています。
つまり「祈り」とは本当に大切なことなのだと思います。死んだ人に届くということですね。お墓参りに忙しくて行けなくても、どんな場所からでも思念で亡くなった人にコンタクトができるということにもなりますね。
亡くなった人がいろんな思いを持って死んでいったとすれば、「私は大丈夫だから心配しないで。」「もうあの世に行ったんだから、この世での辛いことは忘れてね。」と伝えることが、亡くなった人を安心させ、亡くなった人のあの世での修行が進んでいくことになるのかもしれません。
神様も行を積んでいる
「神は人と共にあらせられる。神は人と共に行じておられる。 行は行であり、人は人の行を、神は神の行を積んでおられる。 神と共に歩む者は、神に近づく行を積む。」
『神から人へ 上巻』 ひふみともこ記 今日の話題社
修行を積んでいるのは、私達人間だけではなく、神さまも行を積んでいらっしゃるということ。私たちが行を積むのは、少しでも神さまに近づくため。私たちの霊格を少しでもあげるために、生きているんですね。
玉依姫命とは?
玉依姫と聞いて、すぐに思い浮かぶことがありますか?玉依姫といえば、日本の初代天皇、神武天皇のお母様です。『小桜姫物語』の中で、小桜姫が玉依姫と会話をしているところがあります。その会話は、非常に興味深い内容です。
人間には人間の修行がありますが、神さまにも神さまの行があるのだそうです。以下、玉依姫命の言葉です。
「現世には現世の執着があり、霊界には霊界の苦労があります。
(中略)
とにかく私たちの世界にはなかなか人間に知られない、大きな苦労があることをよく覚えていてもらいます。それがだんだん判ってくれば、現世の人間もあまりわがままを申さぬやうになりませう・・・。」
神さまには、神さまの行があって、大変辛いものであること。それなのに、私達はご利益だの、勝手な願い事をするのは間違っていることになりますね。
玉依姫とオトタチバナヒメノミコト
『小桜姫物語』に、玉依姫の霊統を受けた多くの女性の中に、オトタチバナヒメノミコトもいらっしゃるそうです。
玉依姫ご自身の分霊を受けて生まれた人の中でもオトタチバナヒメノミコトが一番名高くなっていて、玉依姫命は、とても誇りに思っていらっしゃるようです。
私たちも、神さまに誇りに思ってもらえるような生き方をめざすべきなのでしょうね。
豊玉姫系と玉依姫系
竜宮界きっての姉妹であるお2人、幾代かに渡って分霊を出しておられるうちに、性質の相違が次第次第に強まってきたと書かれています。人間界の方では、玉依姫系と豊玉姫系との区別がはっきりしているようです。
◎豊玉姫系・・・あまりはしゃいだところがなく、おしとやか。引っ込み思案
◎玉依姫系・・・とても陽気。進んで人と交流する
とても尊いお二方に共通するのは、どちらも情け深い方であるということだそうです。
『小桜姫物語』を読むと、神様の苦労がわかります。神様がお望みになること、およろこびになることは、人間の霊的な成長なのだと思います。この『小桜姫物語』は1人でも多くの人に、読んでいただきたい本です。
●鶴岡八幡宮のご神木の倒壊
2010年のこと、樹齢1000年とも言われる歴史あるご神木が倒れてしまいました。
私は悲しい思いでいっぱいでした。ご神木が1000年ということは、長い間、鎌倉という土地を見守り、鶴岡八幡宮の参拝者を見つめていらっしゃったことでしょう。
実は、このご神木にはさまざまな神様が宿っていらっしゃることを、『霊界通信・小桜姫物語』の中で語られています。この本の中で、今回の銀杏の樹の妖精と小桜姫が、会話をしている様子があります。