春日大社での大祓祝詞講座と最高の言霊
奈良ツアーでは毎回、春日大社の神職さんご指導の下、大祓詞を唱える講座を行っています。
大祓詞は最高の「言霊(ことたま)」であり、すべての神社で毎日唱えられています。
昔の日本人は言葉には言霊が宿っていると信じてきました。正に、日本は言霊の國と言えるでしょう。ですから、美しい言葉を使うことに氣をつかいました。
山上憶良と柿本人麻呂は、日本の国のことを以下のように言いました。
◎山上憶良(万葉集巻五、八九四)
神代より言ひ伝てけらく空見つ日本(やまと)の國は
皇神(すめがみ)の厳(いつく)しき國
言霊(ことだま)の幸(さきは)ふ國と語り継ぎ
言ひ継がひけり◎柿本人麻呂
敷島(しきしま)の日本(やまと)の國は言霊の佐(たす)
くる國ぞ、眞幸(まさき)くありこそ
言霊には力があり、日本人にとって古来より言霊が大変重要であったことがうかがわれます。
ですので、1人でも多くの人に、大祓詞を唱えていただけるようになっていただきたいと思っています。
2010年の春日大社の大祓祝詞講座では、今までの講座にない祝詞の唱え方をしました。それは3回連続で大祓詞を唱えることです。
普段、お腹から声を出して話すことがないせいか結構キツかったです。
そして、その年は特別に普段は神職さんしか入ることのできない場所で、春日大社の四柱の神さまの前で祝詞を唱えることができたのです。
天河大辨財天社
奈良駅から約2時間かけて貸切バスで天河神社まで移動しました。その途中、最初に皆さんにバスの中で1人ずつ自己紹介や奈良ツアー参加の動機なども話して頂きました。
あるお1人の方は「日本人について考える」ことが目的だったとのこと。その年の奈良ツアーは正にその答えとなるようなツアーになりました。
ツアーの前の年には大きな水害で大きな被害を受けた天河大辨財天社。
近くの保育園が閉園になっていました。
亡くなった人がいることをニュースで聞いていましたが、そのことをバスのドライバーさんのお話によると・・・。
「避難するように」と言ったけれども「大丈夫」と言って避難しなかったために洪水に巻き込まれて亡くなった人もいたそうです。
大変残念なことです。
そこで以下のお話をツアー参加の皆さんにしました。
ある信仰深いおばあさんがいました。
あるとき、洪水が襲いかかります。
すると1人の男性がやってきて言いました。
「おばあさん、このボートに乗って下さい、逃げましょう」するとおばあさんは、「神さまが助けてくれるから大丈夫」と言って、その人の援助を断りました。
仕方なく、その男性は去っていきました。
そしておばあさんは洪水で死んでしまいました。
おばあさんがあの世に行って神様に聞きました。
「神さま、どうして私を助けてくれなかったのですか」
神さま:「助けに行かせたではないか」
避難するように言ってくれた人を差し向けてくださったのは、神さまなのでしょうね。
天河さんで参拝したあと、役の行者がお祀りされているところへ参拝。
そして、日本人は神道だけでなく、仏教や修験道などさまざまな宗教や信仰も受け入れる大変寛容でおおらかな国民であることをツアー参加の皆様にお話しました。
外国では複数の宗教を受け入れるということはほぼありえないことですし、宗教や信仰の違いが元で、戦争や内戦が起きています。
例えば熊野古道は、神道・仏教・修験道の道が混在しています。
外国人では考えられないことを日本人は普通に受けとめ、認めている。
違うものを認めあって存在している。
それが平和のシンボルとして世界遺産として認められているそうです。
帰りがけに天河大辨財天社の宮司さんから「お茶でもいかがですか」と声をかけていただき、宮司さんのお話を聴くラッキーな出来事がありました。
宮司さんのお話はとても深い内容で、今のままでは日本の未来が危ないことを心配されていました。
天河さんは大変スピリチュアルなパワーがあるとか、精霊がいるとかいないとかで多くの人が参拝に訪れますが、宮司さんはそうした話には興味ないそうです。
宮司さんとお話しする機会があったことも偶然ではなく、お導きだったのかもしれません。本当に感謝・感謝でした。
そして前年の天河さん周辺の水害に関しては「禊(みそぎ)だ」ともおっしゃっていましたのが印象的でした。
丹生川上神社下社
丹生川上神社下社では、来年のための注連縄作りを地元の氏子さんの指導の下でツアー参加の皆さんで行いました。そして、1人注連縄2本を作りました。
作った注連縄は、宮司さんにお祓いをしていただきました。
昼食も引き続き丹生川上神社下社でいただき、それから宮司さんの「ことあげせず」のお話。この一つの言霊に全てが凝縮されているようでした。
言葉にせずとも察すること。日本人はずっと行ってきました。
「氣を利かす」という言葉があるように、相手が何をしたいのかを察する力をかつての日本人は持っていたのでしょうね。
こうした日本人の素晴らしいところに、もっと自信を持つべきだと思います。
石上神宮
物部氏ゆかりの石上神宮では神職さんたちと一緒に大祓祝詞、ひふみ祝詞、十種祓詞、明治天皇の御製を唱えました。ここでも言霊の力を実感しました。
前日に春日大社で大祓祝詞を何度も唱えているので、皆さん自信を持って大きな声で唱えていました。
そのあとは神職さんによる十種神宝と石上神宮に伝わる鎮魂法についてのお話。
祝詞を唱える間、外は大雨。
これから三輪山に登るのに大丈夫かと心配になりましたが・・・。
ものすごい浄化作用がおきていたのかもしれません。
三輪山、大神神社、狭井神社
ツアーの最後には、大神神社・狭井神社を参拝後、三輪山をみんなで登拝することができました。
雨が降っているせいか、私たち以外に登る人はほとんどいない。
2度すれ違った女性が1人いましたが、その女性は何と裸足で歩いていました。御神体である山に靴を履いて登ることは失礼だと考えたのでしょうか。
神職さんからは雨が降ると怪我をする人が増えるので、十分氣を付けてくださいとお話があり、いつもより慎重に登りました。
頂上ではほとんどツアー参加の皆さんで独占状態。人がいない分、集中して参拝することができました。日本最高の言霊・大祓祝詞を心の中で唱えていた方もいたかもしれません。
ツアーでは最後の行程の三輪山で雨に降られましたが、それほどの雨ではなかったものの、三輪山から下りてきたとたんに雨が止みました。
どんな天候でも受け入れることだと、石上神宮の神職さんがお話したばかりだったのを思い起こしていました。
様々な場所で多くの言霊が心に響いた奈良ツアーでした。