日本一の聖地
愛しの富士山。JR東海道新幹線に乗ると静岡県・新富士駅付近で、新幹線から富士山が一番良く見えます。富士山を眺めながら手を合わせる人を見たことがあります。日本人にとって富士山が「特別な存在」であるのは誰もが認めるところだろうと思います。
日本で一番の聖地は、天皇陛下が日々、祈りを捧げられている賢所だと思っていましたが、書籍『富士山、2200年の秘密~なぜ日本最大の霊山は古事記に無視されたのか~』戸矢学著(かざひの文庫)を読むと物の見方も変わってきます。
サブタイトルの通り、確かに古事記に富士山のことを書いたような内容を見たことないような気もしますね。この著者は、日本で一番の聖地は「富士山」であると書いています。
書籍によれば、天皇陛下がいらっしゃる皇居という場所は、実は、富士山からの氣の流れを取り込んで江戸城へ集約収斂させるという手法を実現しているのだそうです。
その手法のパイオニアが、天海僧正。
江戸風水の最大最強の根元であり、天海は「江戸風水」を実施することで、江戸幕府を強固なものにしていったといいます。
天海の呪術の特異性、それは「富士山」。
富士山をすべての根源に位置付けることで、これまでの陰陽道(風水・方術)とは異なる原理を生み出しているのだそうです。
陰陽道・地理風水では「聖地」とは、第一に旺氣の発する場所のことで、龍脈の源となる太祖山(たいそざん)です。
その考えでは、日本では富士山こそが太祖山ということになり、日本において富士山にまさる聖地はない。
霊地・霊山は各地にありますが、次元が異なるのだそうです。
富士山の旺氣は八方に発して、日本全土に及ぶもの。
龍脈は山々を経て、各地の龍穴から吹き上げるとされています。
古来、特に強力な龍穴が富士山麓にあって、それは現在の地名でいうと、富士宮市に当たります。
ここが最強の龍穴の地であることは、これまで少なからぬ人の知るところだったそうで、それゆえに、ここに様々な「宗教拠点」を求める人達がいます。
ここに一番最初に出来たのは、世界文化遺産・富士山の構成要素になっている山宮浅間神社。そして次にできた富士山本宮浅間大社、共に富士宮市にあります。
そして今現在では、多くの宗教団体が富士宮市に本部を持っているということは、そこに富士山の力を取り入れることで栄えることを期待したと考えらるのではないでしょうか。
なお、旺氣が吹き上げても、それを保持するための地理や地勢が整っていなければ風に吹き飛ばされてとどまらないとされています。
特に、氣を湛えるには「水」が必要で、湖が最良とされ、古くから「水朱雀」と呼ばれています。
富士の周囲に散在する「富士五湖」は良い氣を湛える典型で、それぞれに名づけられた龍を信仰しています。
・山中湖・・・作薬龍神
・河口湖・・・水口龍神
・西湖・・・・青木龍神
・精進湖・・・出生龍神
・本栖湖・・・古根龍神
こうして富士山は究極の聖地であり、そして伊勢に優先する、とその書籍には書かれています。
伊勢神宮の内宮は、実は「アンチ富士」の存在として設計されているとあります。
詳細は書籍に譲るとして、伊勢にある朝熊山(あさまやま)に関係があるようです。
朝熊と書いて「あさま」と読むということには、以前から氣になっていました。
ちいろば企画でも以前、朝熊山へ行くツアーをオプションでしたことがあります。
この山が「あさま」であることは、富士山との関係をあらわしているようです。
興味のある方はぜひ、この書籍を読んでみてください。
この書籍のレビューでは、なかなかの高評価の書籍で、読んでみて非常におもしろいと思いました。
書籍にはさらに詳しく書かれています。
東京では富士山の「氣」の通り道はどこなのかとか、どこに住むといいのか!?などもあります。
富士山麓大巡礼ツアー~平和を願う旅~
ちいろば企画では、毎年春先に「富士山麓大巡礼ツアー」を開催してきました。世界文化遺産の山宮浅間神社、富士山本宮浅間大社から、富士山麓にある重要な浅間神社を参拝します。
富士山をぐるりととりまくように鎮座している浅間神社。
古代の人々がいかに富士山を畏怖していたかがわかります。
富士山噴火はこれまでに43回と言われています。
平均すると47年に1回の割合で富士山は噴火。
富士山は1707年の宝永の噴火以来、活動を休止しています。
すでに300年の間、噴火していません。
宝永の大噴火の際にできた宝永火口はものすごいパワーの渦を感じる場所です。ちいろば旅倶楽部の富士山麓大巡礼ツアーでも宝永火口トレッキングを組み込んだ年もあります。
次にもし富士山が噴火するとすれば、数値的には6回分のエネルギーが溜まっているといいます。
火山の噴火・・・、近年は御嶽山や阿蘇山など、目立った噴火がありました。
スピリチュアリストの江原啓之さんによると、火山の噴火は、私たちが普段の生活の中で「キレる」ことも原因であるとお話されます。
キレることで、感情が爆発する。キレる主な原因は、ボキャブラリーの無さ。
他人に自分の思いをうまく伝えられない、言葉にできないもどかしさ。それでキレる人が多い。
電車の中やご近所、さまざまな場所で人同士がキレることで事件や社会問題につながることがあります。
本を読んだり、いろんな人と会話をしたり、真善美となるような芸術を楽しんだりと、心の栄養を身につけることが普段から大切ということです。
キレる、逆ギレ・・・、そういったことのないよう、普段から心穏やかにいる、不動心を持つことがトラブルを回避することにつながります。
また、江戸時代の錦絵に、たくさんの人たちが行列をつくって富士山に登っている姿があります。
それは、現代の富士登山の様相と全く同じです。
この錦絵が発表された直後に、「安政の大噴火」が起きています。
こうしたことも、私たちに「注意しなさい」という学びと氣づきなのかもしれませんね。
日本では昔から世が乱れたときに起きる自然災害は「天罰」であるとされてきました。
現代人の富士登山が信仰登山や登拝ではなくリクリエーションの登山者が増えていることに対して、そろそろ見直さなければならない時期に来ているのかもしれません。
登山と登拝。特に富士山は特別な山であり、霊山です。
直接登らなくても、富士山を遥拝するだけでも、十分に富士山のパワーを体感することができます。
美しい富士山麓を巡りながら、要所要所の聖地で富士山の頂に向かって世界と日本の平和を願う、そんな旅を続けていきたいと思っています。
(参考文献)
『富士山、2200年の秘密~なぜ日本最大の霊山は古事記に無視されたのか~』
戸矢学著(かざひの文庫)