パワースポットブームはもう既にブームを超えて現代の日本人の中に定着しているかのように思えます。
伊勢神宮や出雲大社を始めとして、多くの日本人が日本全国の神社をはじめパワースポットと呼ばれる場所に数多く訪れています。
日本全国の神社参拝ツアーを企画する関係上、多くの神社を訪れていますが、そこに来る参拝者の行動を見るに目を覆いたくなる様な場面にも遭遇することがあります。
神社参拝の基本的なマナーを全く知らない人がまだまだ多い様に思います。
ご利益を考えて行く人はご利益を授けてもらうことに頭がいっぱいで、おかしなことをします。
お賽銭をあげるんだから真ん中で拝まなきゃイヤだなんて、謙虚さのかけらもありません。
私はどこのお宮へ行っても、正中、つまり真ん中に立つことはしません。
鈴も威勢よくガランガラン鳴らすのは不作法です。ちょっと考えればわかると思いますが、そんな人間が好かれますか?
(江原啓之著『スピリチュアリズムを語る』より引用)
スピリチュアリストの江原啓之さんのお参りのマナーに関するかなり厳しいご指摘です。
実際にはそのつもりではなくても、たまたま真ん中に立ってしまって参拝することもありますし、「ご利益を望んで何が悪いの?」という気持ちにも悪気がある訳ではないことは分かります。
ついつい知らず知らずのうちにそうしてしまうことも多いと思います。
皆様を神社にお連れするツアーでは、本殿や拝殿などの前で真ん中に立って参拝する傾向のある人がいらっしゃる場合は、真ん中をあけて参拝するようにお願いしています。
また、鈴をガランガラン鳴らすのは、男性に多いと思います。余りに大きな音ですと、祈っているときにうるさくて迷惑だなと思ったことはあります。
以前の話ですが、某雑誌から取材がありました。
取材を受けて思いましたが、ほとんどの人はスピリチュアルスポットとパワースポットの両方合わせて「パワースポット」と言っているように思います。
普通に神社を参拝する方々もきっと同じなのでしょう。
この違いを理解していないとおそらく神社参拝のマナーを意識するということにはならないのではないかと思います。
パワースポットとスピリチュアルスポットの違い
神社などの祈りの場所や聖地は、「スピリチュアルスポット」。パワースポットは、その土地自体にパワーがあることです。
つまりその土地に温泉や滝があったり、火山があったり、樹齢何千年という樹があることなども言えると思います。
誰でも「この場所にいるだけで氣持ちがいいなあ~」なんて思うところがあると思います。それもパワースポットです。
ちなみに先日の富士山・浅間神社参拝ツアーで訪れた静岡県富士宮市の「白糸の滝」は、パワースポットだと思いました。
多くの観光客が訪れる場所ですが、ここはいるだけでものすごい浄化作用を感じます。
ちなみに現在の白糸の滝の水は、今から30年前の富士山の雪解け水が時を経て、流れているそうです。
それに対して、スピリチュアルスポットとはそこにかつて信仰の聖地だった、もしくは今でも信仰の聖地であるという条件が付け加えられます。
神社などはスピリチュアルスポットに属します。
古来より連綿と続いている信仰の場所であれば、自ずとそこに畏敬の念が湧き上がってくるのが普通ですね。
そして、普通に考えれば謙虚な姿勢で神社参拝のマナーを守ろうとすることでしょう。
一方で、神社等をただ単に自分にご利益に与えてくれるパワーの強い場所であると思っているだけであれば、信仰の場所であるということが理解できずに無作法な態度になってしまうのは確かに理解はできるかもしれません。
神社などスピリチュアルスポットで氣をつけるべきマナーとは
スピリチュアル・スポットももちろんパワーの強いところです。
しかしそこには人だけではなく、未浄化な想い(利己的な思い)を抱えた霊が参拝者に助けを求めてすがりに来ることがあると言われています。
そのため、あまりに現世ご利益の強いことを祈ったり、ネガティブな想いで神社に出向くと、マイナスの波長同士が引き合うことがあるそうです。
スピリチュアル・スポットは祈りの場です。
自分の内面と向き合うこと。そして、努力の上で誓いをすることが大切です。
普段の行いを見ている私たちを守ってくれている目に見えない存在である守護霊が「努力をしていない」と判断すれば・・・。
私たちの願いや誓いを神さまに届けてくださることはありません。
そして、あまりに執着があるのもよくありません。
かつては以下のような依頼がありました。
「ご祈祷で私の好きな男性の名前を入れるように神社に頼んで。私はどうしてもこの人と結婚がしたいから。」
名前を入れられようとする男性のことを考えるとどうでしょう。
結婚は、お互いの守護霊同士が「結婚してお互いに魂を磨き合えるかどうか」で決まるといいます。もちろん、結婚するまでのお互いの努力も必要です。
神さまに祈る際、
我欲むき出しの願い事をしていないか
普段から自分を磨く努力をしているのか
執着で何も見えない状態になっていないか
神社などの神聖な場所・聖地では、「感謝と誓い」だけをお伝えすることが「心のマナー」です。
果たして自分はその願い事を申し出るだけの存在なのか。
もうこれ以上努力できないというほどのことをやっているのか。
努力もせずにご利益(結果)だけを望んではいないか。
神社では「感謝と誓い」のみを念じ、後は神様にお任せするという謙虚な姿勢が重要になります。
形式的な「参拝のマナー」よりも大前提として、この「心のマナー」の方が大切なのではないでしょうか。
そして正しい神社の作法等の参拝のマナー。
この両方があって、神さまに私たちの誓いが届くのでしょうね。
数多く日本全国の神社を訪れていますが、今後もその意味を更に深く考えていきたいと思います。
これからも一緒に学んでいきましょう。