行くべき聖地・パワースポット

葉室頼昭さんから学ぶ「山と木と水と神様の関係」

神を祀ることによって日本の水がきれいになったということ。

これは本当のことだと思います。ところが今の人は、山は単なる登山やハイキングするところだと思っている。

日本人は昔から、山というのは登る対象ではなくて神様がおられる、拝むところだと思っていました。そのお陰で、日本は世界に稀なる清らかな水のある国になった。

けれど戦後の人はそれを忘れ、外国のように山は征服するものだという考えに惑わされ、山に登る権利があるといって、あちこちの山に登って自然を破壊してしまった。

その結果が、今の水の汚れにつながっているのだと思うのです。
だからもう一遍原点に返って、山に神を祀るということを行わなければいけない。

『御力(みりょく)』葉室頼昭著 世界文化社より

先日、春日大社の元宮司・葉室頼昭さんの講演ビデオを見させて頂きました。そこで初めて葉室元宮司さんのお話を聞きました。書籍は何度も読んでいます。

その中で、「いい水」を飲むことの大切さを何度もお話しされていました。

葉室元宮司さんは元は形成外科の名医としてご活躍され、その後、枚岡神社の宮司そして奈良の春日大社の宮司になられるという、かなり特異な経験を持っている方です。

神様のお導きによって医師としての経験を元に、神を神道を伝える役割を持っていらっしゃいました。

私たちは水で生きているわけで、きれいな水、栄養のある水を体の中に入れないと、健康になれないというのは当たり前であるとお話しされています。

健康な人と病気の人の体の水を調べてみると、病気の人の水は濁っている。

健康の人の水は非常に透明で、水そのものが健康に与える影響が大きいことがわかってきたそうです。

普段からいい水を飲むこと。そして、神社では言霊と水で私たちは罪・穢れを祓い清められることを教えてくださっています。

それもできればいい水のほうが、祓い清めの力が強いそうです。

こうしたことを、日本人の祖先は直感的に知っていたんですね!

そのいい水とは、神様が祀られる山から流れる水。

山には神様がいらっしゃるということを忘れて、遊びの登山をする人が大半だと思います。

日本人の命に大切な素晴らしい水。その素晴らしい水を生み出す山、そしてそこに祀られる神様。そして、山にある木も綺麗な水を作ります。

私たちの祖先は子孫のために山の木をなるべく切らずに残していた。
だから今、私たちは水を飲むことができる。

ところが今はたくさんの木を伐採し、自然破壊をしてしまった。

それはいずれ、子孫に水を残せないことになってしまいます。

山と木と水、そして、神様との関係。

山に入るときは、いつも感謝の気持ちを持って向かいたいと思います。

山の神様を体感する旅

2014年には四国・剣山と立山に登拝する旅をそれぞれ企画しました。
何れも山の神様の存在を身近に感じて、普段はなかなかできない体験の中で自らの人生を内観する良い機会となります。

剣山登拝と神輿渡御、徳島の古代聖地をめぐる3日間2014
~上一宮大粟神社と大麻比古神社参拝~

剣山で毎年行われる標高2000mを超える場所での御輿渡御のお祭りを間近で体験しました。宿泊した剣山頂上のヒュッテでは、前日から祭祀が行われていて、宿泊客はとても近くでお祭りに触れることができました。

四国・剣山はそれほど厳しい山ではありません。リフトを利用して気軽に登れる山です。ほとんど観光地化していると行っても過言ではないのですが、山中には様々な古来山岳信仰の跡が数多く残っていました。古の人達は何をこの剣山に求めて訪れていたのかということに思いを巡らしながらの登拝でした。

更に、麻の神様が祀られる大麻比古神社、元の一の宮といわれ、穀物の女神・オオゲツヒメノミコトが祀られる上一宮大粟神社も参拝しました。そして、高天原候補として有名な徳島の聖地2ヵ所にも訪れました。
その年は、立山独自の信仰を体感する夏の立山へも向かいました。

人間救済空間・立山!立山まいりと地獄浄土3日間2014
~立山曼荼羅・絵解きの世界へ~

立山は、日本三大霊山の一つであり、立山と言えば立山信仰、立山曼荼羅を忘れることはできません。しかし、今やこうした文化が廃れてしまい、2014年の立山はもう一度立山の山岳信仰の原点を探ろうと企画した旅でした。

立山博物館で基本的な立山信仰(立山曼荼羅)について学び、雄山神社・中宮祈願殿(芦峅寺)、雄山神社・前立社壇(岩峅寺)へ参拝し、最後に館山頂上の雄山神社・峰本社まで登拝しました。

現代人の山に対する姿勢

これらの2014年に訪れた山々は、それぞれ独自の山岳信仰を持ち、昔から日本人が大切にしてきた山です。

冒頭の葉室頼昭さんの言葉『だからもう一遍原点に返って、山に神を祀るということを行わなければいけない。』が心に響いてきます。日本の百名山で取り上げられている様な山々の山頂には必ずと言ってよいほど神社の奥宮が祀られていることが多いですね。これは古来より日本人が山に神様を祀り自然の恵みへの感謝を続けてきたということではないでしょうか。

それなのに、現代人は山に神様が祀られていることを忘れてしまい、山にゴミを撒き散らしたり、自然破壊を続けてきました。現代人の都合はあるにしても、行き過ぎがあったことは認めて気持ちを入れ替えなければなりません。

山々に登らせて頂いている私たちも、山頂にアタックするとか山を征服するといった軽い表現を使うのではなく、山岳信仰から山を切り開いた先人達を敬いつつ山々に対する畏敬の念と共に常にありたいと思います。

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